「はい、それはないです。二つと云うのは、今お借りしている別れのコトバのお札を、霊子さんのアドバイスどおりお借りしたままで、もうひとつ、追加でお借りしたいんです」
「えぇ、そういうお話で、別の方に対してお使いになるのでしたら、どのようなコトバでもお貸しできますよ」
「実はですね・・・、もうひとつはプロポーズのコトバをお借りしたいんです・・・」
ついさっき、別れの言葉で、一人を振っておいて、舌の根も乾かないうちに別の人に対して、プロポーズのコトバを借りたい・・・
アイカは自分でも、ちょっとわがまま過ぎなのは、承知していた。
しかし、次を急ぎたかった。
こんなにも、別れが上手くいったのだから・・・
アイカは、一年ぐらい前から会社の違う課の上司、香川アキヒコと密かに付き合っていた。
当然、カズオには内緒で・・・

