「僕も、それは感じてたよ。そろそろ良い頃合いじゃないかって・・・」
しかし、この席で、いきなりプロポーズをしてもいいものだろうか?
手順としては婚約指輪をちゃんと用意して、その時に正式にプロポーズのコトバを伝えるのがセオリーじゃないか・・・
「でね、私達の関係は、今日でおしまいにしたいの!」
「そう、別れましょ!別れたいのよ・・・」
アイカがあんなに、云いたくても云えなかった別れのコトバがすらすらを出てくる。
「ねぇ!それって、僕にプロポーズをさせるための強硬手段かい?」
カズオにはまだ、状況が呑み込めずにいる。
意思の力が必要だと、霊子が云ったコトバがアイカの頭をよぎった。
そして、巾着袋をテーブルの下の左手でしっかりと強い意思を込めて握り締めた。

