「ジャスティン、大丈夫…?」


木の実は、元気のないジャスティンが気になってしょうがない。
引っ越し先を勝手に決めたのを怒っているのかな、今日は、不動産屋に一緒に行く予定だったし…


「大丈夫だよ…
それより、これからどうしようか…?」


ジャスティンはそう答えるが、明らかに声が小さいし目が伏し目がちだった。


「ジャスティんがよかったら、その引っ越し先まで行きたいな。
中に入る事はできないけど、外から見てみたい。
場所もどんな所か把握していたいし」


ジャスティンは切ない顔でふうっとため息をついた。
やっぱり、私が勝手に引っ越し先を決めた事に怒ってるんだ。


「ジャスティン、ごめんなさい…
今日、一緒に不動産屋に行こうって約束してたのに、勝手に私が決めてきたから、それで怒ってるんでしょう?
でも、本当にいい話で、これ以上の物件はないって思ったの…」


「違うよ…
全然、そんなんじゃないんだ。
うん、本当にいい話だと思う、だから、今からドライブがてらそこに行こう。
こっちこそごめんな、本当にそんなんじゃないんだ…」


木の実はジャスティンが元気がないと、自分まで落ち込んでしまう。
いつも穏やかで温厚で、でもちょっとだけ意地悪なジャスティンが、ここ数日間、空気のように木の実の近くにいてくれたことを改めて考えた。
そして、何となく、ジャスティンの感情が自分にリンクしている、そんな不思議なつながりも胸の奥で感じ取っていた。