ジャスティンは、大通りの中にある駐車場に車を停めて、木の実の帰りを待った。
7時になったら車から出て店の近くまで歩いて行こうと思っていたら、木の実は7時ピッタリに店から出て来た。
ジャスティンを捜してキョロキョロしている。


「ナッツ」


ジャスティンがそう呼ぶと、木の実は最高の笑顔を浮かべてジャスティンの元へ走って来る。


「どうしたの? 何かいい事があった?」


ジャスティンがそう聞くと、木の実はピョンピョン跳ねながらうんうん頷いている。


「ジャスティン、今日はもう不動産屋に行かなくてよくなった」


ジャスティンは目を細めながら、木の実の腕を掴んで落ち着かせる。


「なんで?」


木の実は、ジャスティンの腕を組んで体をピタリと付けてきた。


「ジャスティンは、きっと、私にとって、幸せを運んで来る王子様なの」



「なんだよ、それ」



「家が決まった~~
モナンジュの奥様の実家のマンションに住まわせてくれるって。
家賃もめちゃくちゃ安くしてくれて、あ、でも、奥様のご両親と友達になることが条件なんだけど、そんなの条件出さなくても私はすぐに友達になるのにね。

あ~、嬉しい~~
ジャスティン、本当にありがとう~~」


ジャスティンはあまり喜べなかった。


「で、引っ越しはいつ?」


木の実はニコニコ顔で、ジャスティンの腕をまた組んでくる。

「今度の火曜日にすることになった。
その日は、私の休日だし、そのマンションはいつでも入れるんだって」



「火曜日…?」


ジャスティンは目の前が真っ暗になった。
火曜日に木の実は俺の家から居なくなる…?