ジャスティンと木の実は、ジャスティンの家で飲み直すことにした。
ジャスティンが車の運転があるために、レストランでは飲めなかったからだ。
木の実は、ワインを一杯だけ飲んだ。
お酒はそんなに強い方ではないが、でも、眺めるだけでワインが何杯も進みそうなジャスティンが隣にいて、二人でお洒落にワインを飲むなんて、考えるだけで胸がキュンキュンした。


「なんか、サッサと作ろうか?」


ジャスティンは家に着くと、スーツの上着だけを脱ぎネクタイを外し、白いシャツを腕まくりしてキッチンに立った。


「ジャスティンにお任せします。
私、何でも大好物だから」


木の実はそう言い終ると、自分の部屋に荷物を置きに行った。
昨夜は真剣に考えなかったけれど、このマンションは、一般人は絶対に住む事ができない超豪華マンションだ。
このゲストルームにしても、お風呂もトイレも完備で、ましてや天井に届くほどのガラスの壁が一面を埋め尽くしている。

木の実はカーテンを開け、間近に見える東京の夜景をウットリと眺めた。

でも、何でなんだろう…
何で、私は、こんな所に寝泊まりしているのだろう…

木の実はわざと頭を軽く振り、今は何も疑問に思わない事にした。
タイムリミットは一週間、でも、もう二日は過ぎたから、あと五日間…

白馬に乗った王子様が、森の中で迷子になった貧乏な女の子にお慈悲の心で接してくれているだけの事。
それ以上は、期待しちゃダメ…
傷つくのは自分自身なんだから…