それぞれで一人二個ずつ作った。
澤さんの大きな冷蔵庫は、皆の作ったティラミスで溢れている。

冷蔵庫でティラミスを冷やす間、皆が持ち寄ったご馳走がテーブルに並び出した。


「何が始まるの?」


ジャスティンは木の実の隣にきて、目を丸くしながらそう聞いた。


「さあね」


どうやら木の実は何かを隠している。
でも、ジャスティンは、何も気づかないふりをした。


「木の実ちゃん、たいへんなの、ちょっと来て」


澤さんが真っ青な顔をして木の実を呼びに来た。
木の実も飛び上がってすぐに澤さんの後を追いかける。
ジャスティンは心配になってその方向へ行こうとしたが、他の人になんとなく阻止された。


「では、皆さん、いただきましょう」


テーブルの上はいつの間にかご馳走でいっぱいになっている。
ジャスティンは、木の実がいるだけでそれだけで嬉しかった。
木の実は本当に誰とでも仲良くなれる。
それは、木の実の才能であり、最大の魅力でもあった。


「ほら、ジャスちゃん、ティラミスを食べてみて。
木の実ちゃんの愛情がたっぷり詰まってるんだから」


ジャスティンははにかみながら、3口ほどでティラミスを食べ終えた。
小さなコップに作ったので、あっという間になくなった。


「え? どうしたんですか?」


木の実を含め皆がポカンとジャスティンを見ている。


「ジャスティン、ティラミスの中はとろっとしてた?
固いものはなかったよね?」



「いや、なめらかだったよ」