「ジャスちゃん、ジャスちゃん、この先はどうすればいいのかしら?」


ジャスティンは、木の実のマンションのオーナーでもある澤さん宅で、料理教室とやらの先生をさせられている。

木の実がこのマンションに引っ越してきてから、もれなくジャスティンも付いてきた。
1LDKの間取りは二人が済むにはちょうど良く、それは俺が勝手に言っている事だが、この澤さん老夫婦とも木の実以上に俺の方が仲良しだった。
木の実とつき合い始めてから、木の実が休みの平日にジャスティンも休みを取った。
そして、木の実のマンションの近くに月極の駐車場も借りた。

実は、木の実以上に、ジャスティンの方がこのマンションやこの地域を気に入っている。
と、いうわけで、料理上手なジャスティンの腕を知った澤さんがご近所のお友達を集めて、週末に料理教室を開いていた。


「ジャスちゃん、今日は、木の実ちゃんも休みなんでしょ?」


何でも木の実の事情を知っている澤さんが、料理教室の準備をしながらそう聞いてきた。


「はい、後で顔を出すって言ってましたよ」



「ウフフ、良かった」


ウフフって…?
澤さんやその仲間達は本当に可愛いおばあちゃんが多かった。
そして、そのおばあちゃん達の間では、ジャスティンは誰にも負けないほどのアイドルだった。