「うるせえ、触んなくそババア」
「な、なんですか目上の人に対してその口の利き方はっ」
廊下を駆け足で急ぐ途中、向こう側の窓から聞こえてきたそんな声。
芸能科の生徒……?
もしかしてあれが……。
芸能科の校舎で、眼鏡をかけた気難しそうな女性の教師と何やら揉めている様子の男子生徒が見えた。
眩しいくらいの黄金色の髪に、黒のメッシュが主張した、いかにもヤンキーじみた派手派手な感じ。
うわー……。関わりたくない。
芸能科にもあんな不良生徒がいたなんてな……。
記憶によみがえる、天羽さんのあの言葉。
『この学園には、名門の名に相応しくない問題児の集団が1つだけ存在するの。それも、あの芸能科に籍を置いている生徒たちなんだけど』