「わあ、女の子だー。お姉さん、普通科の編入生ってほんとっ?」
っっっ!!!!!
くりっと丸く大きな瞳に、あたしは一瞬にして心を打ちぬかれた。
な、なんだ、このエンジェルは!!!
コクコクとただ頷くと、彼はにんまりと史上最強に可愛い笑顔で微笑んで、あたしの腕にさらに絡みついた。
「僕ねー、薫っていうの!菊月薫(キクヅキ カオル)!よろしくね♡お姉さんは?」
「か、上篠桃……」
あなた方に名乗る名前などうんたらかんたらとか勢いづいて言った割には、この子の前ではあっさりと答えてしまった。
「桃ちゃんって言うんだ!可愛い名前だね♡」
いや、あなたのエンジェルスマイルには敵いませんから!!
あたしはぎゅっと握られた腕を振り払えずに、彼の透き通った綺麗な瞳に魅せられたまま、再び静止していた。
「テメェ男のくせにその猫みたいな声気持ち悪ぃんだよ」
「はー?別に夏津には何の迷惑もかけてないんですけど。むしろ夏津のそのけんかっ早い態度の方がウザーい、よね?桃ちゃん?」
うっ!!
その可愛らしい瞳で見つめられると、あたし、あたし……。
「は、ハイ……」
まるで催眠術にでもかかったかのように、口から勝手にこぼれ落ちていたのだ。
「あ?テメェ調子のってんのか!?」
ひっ!
金黒メッシュに睨まれるも、あたしは目を合わさずにそれを無視する。
こんな場違いな癒し系小動物、こんなガラの悪い連中と何で……!?
