バクバクと心臓が音を立てて騒いでいる。

色々な噂は鵜呑みにしてはいないつもりでいたけど、こう目の前にすると、やっぱり怖い。


あたし、このままもしかしたら――



「ほー。これは意外。まさか普通科噂の編入生だったとはねえ」

「はあ?噂ってどんな噂だっつの。噂されるほど光ってねえけど」


なっ……!?

ちょっとそれどういう意味よ!!


って、確かにどんな噂だとは思うけど。

だがしかし、このヤンキー男に言われるとなんか癪だというか。


黒金メッシュヤンキーが、元々悪い目つきをさらに引きつらせてあたしを見やった。


口にこそ出さないものの、あたしもヤツを思い切り睨み返す。



「あ?んだよ、テメェ、人の話盗み聞きしてた分際で文句あんのかよ?いいじゃねぇか、名前名乗れや」

「あなた方に名乗る名前など持ち合わせておりません」

「ああ?テメェ犯され……」


「はーいストップ。相変わらず夏津は口悪いんだから。ここで夏津がこの子に絡んでどうすんの」


挑発的な態度が気に入らなくて、飲み込んだはずの言葉が結局出てしまった。

バチバチと火花を飛ばし合うも、巧って人が間に入って仲裁する。



ギュッ


「え?」



そんな中、突如あたしの左手の腕が、ぐいっと誰かに引っ張られた。