怖い。

手足が震える感じがした。


立ち聞きしていたのがバレていたなんて。

どうしよう。見つかった。どうしよう。



「大丈夫。別に誰も食ってかかったりしないからさ」

「あ?んだよ、いい趣味してんじゃねえか。いつから気付いてた、巧」

「何となくだけど。ずっと気配があったからさ」



今となっては声だけでわかる。

あの金黒メッシュのヤンキーと、ブラウンカラーのイケメン男子の2人が、すぐ近くで話してるんだ。あたしのことを。



「しかも多分、女の子、だよね?」


……やばい。性別までバレてるなんて、一体何者なのよ、あの男!

てかどうしよう。


身動きできない状態のまま、あたしは葛藤していた。



「出てきてくんないなら、こっちから行っちゃうけど?」


「……っ」


あたしは意を決して飛び出していた。