そう。そもそもここに立ち入ってしまったのが間違いだったのだけど、まだこのときなら引き返せたのに。 そのことに気付いたのは、このすぐ後のことだったの。 「さて。盗み聞きもそろそろ尽きたでしょ。いい加減に出てきてもらえるかな?どこぞの生徒さん?」 ……っ!! 掴みどころのないトーンで、さらりとあたしに投げられた言葉。 焦りと恐怖で、あたしの背筋が凍りつく。