さらによく見ればあの小人のような男子たちも、確か朝どこかで見た顔のような……。


あっ思い出した!

確か、2年片想いした彼女を奪い取られた挙句に、傘を勝手に持って行かれて雨の中帰らされた災難な地味男子!!


あのとき言ってた、”あいつら”って、まさかこの人たちのことだったなんて……。命知らずにもほどがあるような……。



「はいはい、夏津くんそこまで」



そこでパンパンと両手を合わせて口を開いたのは、今まで壁にもたれて見物していた、ブラウンの髪の男。


モデルのようなスタイルと、派手な顔立ちの美青年。




「んだよ、巧。そもそもオメェだってこいつらにケンカ売られたんだろうが」


「んー、別に俺はど~でもいいんだけど。で、結局君らは俺たちに何を求めにここまで来たわけ?」


「そ、それは、だから、その……。と、とりあえず、あ、雨の予報の日は自分で傘を持ってきていた、いただきたい、ことと……」


「ああ?」


「ヒィッ……!い、いいいいか!?と、特に北川夏津!!あ、あまり、ぼ、僕たち他の生徒のべ、勉強の妨げとなる行為は慎みたまえ!!

う、うわあああああ」



わっ!


結局、それだけを言い放つと、2人は慌てながらも一目散に私の前を通って、その場から逃げ出した。


すれ違い際、

「ついに、ついに言ってやったぞ!!!」

とかなんとか興奮しながら。

余程勇気を振り絞ったのか、汗すごかったみたいだけど。


なんて、他人の心配をしている場合ではなかったのである。