行きつけのバーでお酒を飲みまくる。



普段は飲まないようなきついお酒も、この日は手を出した。



「ちょっ、お客さんいくらなんでも飲み過ぎですよ!」



バーテンのお兄ちゃんが慌てた表情で止めようとする………が、



「うるさぁーい!私は今悲しいの〜。今日は私のプロポーズされる日だったのにぃーー!


私の愚痴は止まらない。


「お客さん、もっと静かに。」

ジェスチャーで私を抑えようとするバーテンさん。


「もういいもん!!バーテンさんまでも私の敵なのね!?」


段々と自暴自棄になってくる私。それを鎮めようとバーテンさんは手を左右に振る。


というか、眠くなってきた。


うーーん…



「いやいや、そんなことはいって….ない…って…


桜野さぁーん!桜野さーん!!


あ…あれ?寝ちゃった???」



「…zzzZZ」




「はぁー困ったなぁ。どうしよう」



バーテンが一人困っていると…



「どうかされましたか?」



カウンターにひとりの男がやってきた。




「実はですね、このお客さんがお酒飲みすぎて寝てしまわれて…」



「あー…なるほど。」



男は桜野さんの寝顔を一瞥し微笑むとバーテンに言う。



「この子、僕の部下なので僕がなんとかしますよ」



男の言葉に対しバーテンは顔を綻ばせた。



「ほんとですか!?
じゃあよろしくしてもいいですかね??」



「えぇ、任せてください」




男はそう言うとカウンターに金を置き、桜野さんをお姫様抱っこし店を出ていった。




バーテンは男が出ていったあとのドアを見て呟く。



「抱かれたいわ」




こうしてバーテンは禁断の赤い壁を開くのだった。