パネルも順調に進み、体育祭当日がやってきた。

運動が大の苦手な私にとって体育祭はとても苦痛だったが、競技以外でも充分楽しめるので、嫌いではなかった。


私は委員会の仕事で、借り物競争の係をすることになった。

ゴール付近で旗を持っているだけで、すごく暇なので、近くにいた同じ連合の子とずっと話していた。


「あ、あれたっきーじゃない?」

『ん?あ、本当だ…』

「お題なんだろうね」

『うん』


そっか。

手を繋いでゴールするのルールだもんね。

借り物が人の場合はその人も対象なんだっけ…


…楽しそうにしちゃって

モヤモヤするなぁ


滝野先生は、一個上の先輩達に連れられゴールしていた。


3位…

私の係か


『3位の方はこちらです』

「ありがとー」

『お疲れ様です』


可愛い先輩…

近くで見ると顔整ってるなぁ


なんて思ってたら、背中の方から声が聞こえる。
その声色から疲れが伺える。

「露崎ー」

『なんですか』

「久しぶりにあんなに走ったー疲れたよー」

慰めてと言わんばかりの甘え声
ここで、可愛い対応でもとれたら悩んでないのだが…


『そうですか』


この塩対応だから困る
絶対好感度下がった…

先生と話したいのに、話せば話すほど好感度が下がってしまうジレンマ
どうにかならないものか


そんな事を考えていたら、さっきの先輩が先生と話していた


「先生ー後で写真撮りましょうよー」

「いいよー」

「やったぁ」


その先輩の周りの人達が、良かったじゃん、と声を掛けているのを見て、私は悟った。

私以外にも…
そりゃあいるよね…


私が勝手にいないと思ってただけだもんね…



顔だって、行動だって、発言だって

全部先輩の方が私の何倍も可愛い


勝てるわけなんて無いよね