私の目の前に立つ彼。



『そ、そんなの、あなたには
関係ないでしょ…』



なんで見知らぬ人に
いきなり怒鳴られなくちゃ
いけないのか…



そう思ったら腹がたって
思わず言い返していた。



『だいたい、あなた誰?
ナンパか何かですかっ!?』



私が怒った顔で睨みつけると
彼は少し間をおいてから
笑い出した。



「ああ、ごめん、ごめん。
そうだよな、覚えてないよな。」



彼は笑いながら
私の濡れた顔を
袖口で拭おうと
頬に手を伸ばしたが
その手がふと止まった。



「泣いたのか…」



思いがけず
優しい瞳で見つめられ
思わず目をそらす。



『な、泣いてません。
これは…雨です。』



「ばーか、目が赤い…」



口は悪いが声は優しい。



でもこの声どこかで‥‥



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥