「人助けが趣味なのか?」
「へ?・・人助け?」 
「朝、バスの中でも婆さんに席譲ってたじゃん」
「えっどうしてそんな事知ってるの?」
「オレいっつも同じバスに乗ってんだけど・・」
「ウソ?!」 「いや、マジで」
「そ、そんな事って・・」
「あるんだな、こんな偶然・・つーか運命かもな!」
「え?」
「オレ千葉陽人。高2・・お前は?」
「わ、私は・・」(どうしよう・・苗字言いたくないなぁでも言った方が良いよね?)
「と、東条ひなた、高2です」
「ふ~ん・・ひなたって言うのか、ヨロシクな!」
「ど、どうも」

彼は金髪で耳には十字架のようなデザインのピアスを付け制服のブレザーはボタン一つとめずシャツも白ではなく水色のシャツを着て胸元は大きく開けて首元にはネックレス、ネクタイも緩くつけている・・。
どこからどう見ても不良なイメージなのだがこの時何故か、ひなたは彼の個性溢れる風貌にどことなくオシャレなイメージを持った。
すると陽人はひなたの目を見ると話し始めた。
「オレさーバスの中でずっとお前の事見てた・・」
「え?ど、どうして?」(あ、地味だからかな・・)
「何かつまんなそうだなーって思って見てた。」
「つまらなそう?」(うわ~見透かされてる・・完全に。確かに毎日つまらなかったけどそんなに顔に出てたんだ・・)
「それともったいねーなって」
「勿体無い?」
「あ~コイツぜってーメイクとヘアアレンジしたら可愛くなるのになーって思ってた」
(なっ?!き、急にそんな可愛いなんて・・そんな事初めて言われた・・)
「そ、そんな・・私は・・・」
「お前セレ学だろ?」
「あ、はい。」
「オレは鈴高って見れば分かるよな!」
「・・・ん?」ひなたは何気なく腕時計を見ると6:20を指していた。
「うそっ!!もうこんな時間?!」
「は?まだ6時半前だけど?」
「私の家、門限7時までなんです!」
「はぁ?!何だソレ?門限7時って小学生かよ・・」
「どうしよう・・・今からバスに乗っても30分以上かかるし・・。」
「お前ってもしかしてかなりのお嬢様なのか?」
「早く帰らないと!それじゃあ私はこれで!」
とその時、何故か陽人がひなたの腕を掴んだ。
「ちょっと待てって!」
「へっ?!」
「バスよりも早く帰れる方法教えてやるよ!」
「・・・え?」
「いーからオレについて来い!」