自己中王女と気弱な紳士

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正門を通って校舎に入る


まだネームプレートが無い靴箱の前で

持って来た袋から上履きを取り出し履き替える


すぐ近くに掲示されてあるクラス表を見に歩みを進めた


ふと玄関から外を見渡せば

入学生とその保護者でごった返していた


私達の学校は、入学式と進級式が同日に行われるため
毎年この日には今日の様な事態になる


「人多過ぎ…」


私は、誰にも聞こえない程の小さな声で呟いた