あの空の向こうで


「和樹…」











沈黙の中、
おふくろが
口を開いた。












「何?」














「再婚…。
 しようと思ってるの…」













…。
はぁ?


























「相手は?」









































「―昔…不倫してた人…―」
















































絶句の一言だった。

親父を殺した
ような人と…。


















「お前…今自分で
 なんつったか、
 分かってんのか?」










































「分かってるわ…!
 
 和樹の言うことは
 十分わかってる…。

 
 だけど、あの人の事が、
 好きなの…」



「好き?親父を殺した
 ような人が?

 
 お前は、親父の事
 死ねって思ってたのか?」

「違…」






「何が違うんだよ!!!
 
 どのヅラ下げてんだよ!
 死んだ親父がどんなに
 辛かったか…。

 
 最後まで、あんたの事
 信じてたのに…。


 
 死んで、親父に謝って来い!」













俺は、胸ぐらをつかんで
泣き叫んでいた。