「ふ~ん。なるほど」

 全部陽汰くんに、打ち明けた。

 ・・・あっ!

 病気のことは伏せてね。

 「・・・嘉人は私のこと、覚えてないんだよね?」

 陽汰くんは、息をのみ言った。

 「・・・たぶんな。さっきの反応が答えだろう」

 私のほおに、一筋の涙がつたった。

 楽しかった思い出も、全部忘れてるんだ。

 私は、知らない他人と同じ存在なんだ。

 「・・・嘉人には言わない方がいいよね?私のこと」

 言って、こんがらがってほしくない。

 「なんか、あったら言って。俺で良ければ相談に乗るし」

 「陽汰くんっていつ、嘉人に出会ったの?」

 「嘉人とか?う~ん、俺さ小さい頃から、サッカーやってて飽きてきてたんだ。でも、高校に入って嘉人に会って変わったんだよ、俺。また、頑張ってみようと思った。他人の考えを変えるんだもん、すげぇーよ、嘉人は」

 嘉人はそういう子だもん。

 「そういえばよく、幼なじみの事を話してたな。・・・嘉凜って子のこと」

 ・・・嘉凜って。

 私のこと・・・!?

 「忘れたくないんだって言ってたぞ。一生、忘れたくない存在だって。・・・何があっても」

 でも・・・?

 「・・・事故になって何もかも忘れた。その時、ずっとそばに花南がいた。で、告った花南が」

 花南が・・・嘉人のこと・・・。

 「中学の時から好きだったらしいけど、嘉凜って可愛い子といつもいたんだってな」

 それって・・・私?

 「嘉人さ、いつも嘉凜って子のことしか見てないから・・・って言ってた。」

 私のことしか見てなかった・・・?

 嘘じゃん・・・。

 私のこと見てたら、何で引っ越しすること言ってくれなかったの。

 ・・・ひどいよ。

嘉人・・・私、悲しかったんだよ。

 ずっとキミを待ってたんだよ。

 ・・・ずっと。