「そういえば、その子は?」

 陽汰と呼ばれた男の子が、私のことを話題の中心とした。

 「あ~・・・この子は私の親友の嘉凜」

 ちょっと・・・。

 「俺は陽汰。嘉凜ちゃん、よろしくね」

 陽汰君に曖昧な笑みを返し、嘉人のことを見てた。

 「・・・嘉凜!?」

 気づいたのかな・・・?

 「知ってるの?」

 陽汰くんが嘉人に聞いた。

 「・・・イや、知らない」

 ・・・えっ・・・。

 「・・・そういえば、花南その服着てたんだ」

 えっ・・・!?

 その服って、嘉人が選んだの・・・?

 嘘・・・でしょ。

 「・・・似合う?嘉人が着てほしい人じゃないけど・・・」

 「いいんじゃない?似合ってる」

 ・・・まさか・・・。

 「・・・嘉凜ちゃん、ちょっといいかな?」

 陽汰くんに手を引っ張られた。

 花南や嘉人の瞳には見えてないみたい。

 ・・・まさか・・・。

 「ここまで来たらいいかな?」

 陽汰くんがこっちを見ていった。

 「あの二人、付き合ってるよ」

 驚愕の事実を突き止められた。

 「・・・嘉人は、高校の時に事故にあって脳を強打して、それまでの記憶がすべて消えた」

 ・・・嘉人が、事故にあった・・・!?

 「・・・えっ、じゃぁ、サッカーは?」

 嘉人は、小さい頃からサッカーばかりしてた。

 そんなの近くで見てたんだもん。

 「事故の後、一時休部してたけど続けてるよ」
 
 それなら、良かった。

 「嘉凜ちゃんって、嘉人とどういった関係だったの?知ってるみたいだけど、嘉人のこと」

 「嘉人とは、幼なじみ。中学までずっと一緒だったけど急に転校してそれっきりだった。なのに、急に花南から電話とかおかしいと思った。だって、花南も高校も違ったから」

 なんかわかんないけど、全部陽汰くんにぶつけてた。