__ザアッ...



春の風が私の髪と桜の花びらを巻き上げる。



私は巻き上がる髪を押さえながら歩く。



「あっ!姫様!おはようございます」



「あっ、姫様よ、今日も美しいわね」



私が歩くと周りの人達が沢山挨拶をしてくる。



私は振り返って微笑む。



「皆さん、おはようございます。今日も良い天気ですね」



「「きゃぁぁぁぁー!!」」



私がそう言うと、周りが黄色い悲鳴をあげる。



「姫様が挨拶をしてくださったわー!」



私は人並みに整った顔立ちに、成績優秀、運動神経抜群な一之瀬高校2年生の桜城 姫華。



通称、『姫』。



私はお嬢様結びをした腰まで届く長い髪を払う。



私はまた前を向いて歩き出した。