「ごめん。お前の事好きじゃねーわ。てか嫌いだし。」
高1の秋。あたしは友達の 浅野 斗季に告白した。
「そっか。ごめんね。」
予想外の返事に涙をこらえながら、あたしは斗季に顔を見られないように俯く。
耳に掛けていた目が隠れるくらいに長い前髪が、はらりと落ちてきて、あたしの顔は少しずつ隠れていく。
「……もう俺に関わんな。」
斗季の口から出た言葉に、我慢していた涙が溢れ出てくる。
そんなあたしの横を通り抜け、教室から出ていく斗季。
斗季が好きだと言ったから、肩まである茶髪の髪をポニーテールにし、
斗季がこっちの方がいいと言ったから、黒縁のメガネをコンタクトにした。
もう、こんな事しなくていいんだ。
生まれて初めてした告白だったのに。
斗季の為に可愛くなろうと何でもやってきたのに。
今までの努力や勇気が一瞬で無駄になった。



