逃げるって……。

僕は何かの犯人ですか。


ずるずるベッドに引き込まれ、有無を言わさぬ調子で強く、彼女は僕を抱きしめた。

「ちょっと……っ、何? 離して!?」

「うるさい抱き枕」

「だ、抱き枕……?」


今夜も眠れそうにない。


……っあ、変な意味じゃないよ!

手を出したりなんて、できそうもない。


楽な姿勢を探してもぞもぞ動いていた僕は、ふと左手に冷たいモノが触れたのに気づいて。

それの正体を掴もうと、指でそっとまさぐると、一瞬指先が熱を持って、慌てて見れば、つっ、と血が滴っていた。


ぞくり、とした。