「ただいま」

「おかえり〜」

今日は早い。

私が慌てて玄関まで行くと

「そんなに慌てて転んだら大変な事になるよ」

クスッとそーちゃんは笑って

「誕生日おめでとう」

と、小さな可愛い包みを渡された。

「あ…」



今日は3月27日。

私の誕生日だった。

18才。

すっかり忘れていた。



「あ、ありがとう」

私は両手でその包みを受け取った。

「やっぱり…」

そーちゃんは少しため息をついて

「自分の誕生日、忘れてたでしょ?」

「…うん」

「ケーキも買ってきたから後で一緒に食べよう?」

私は満面の笑みを浮かべて頷いた。

「開けていい?」

私は今すぐに開けたい衝動に駆られた。

「いいよ」

クスッ、と笑ってそーちゃんは靴を脱いだ。

その間に開けてみると。



あ…。

ジュエリーボックス。

中を開けたら。

ダイヤの入った、ちょっと可愛いデザインの指輪だった。



「婚約指輪、まだだったでしょ?」

この前。

結婚指輪を作るために貴金属店に行った時。

お店を一度出てから、そーちゃんは私を車で待たせて、またお店に行ったんだ。

あの時の…



「ちゃんと渡したかったから」

そーちゃんは私の手からボックスを取り上げて、指輪を取り出した。

そして私の左手を取って薬指にはめた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

そーちゃんは優しく笑っていた。