君がいなくなって

「帰らなくてもいいのに」



翌日。

ママにそう言われたけど。

「ママも大変なのに、甘えてられないし」

私は笑った。

「それと。
今度部屋を片付けにくるね。
いずれ私の妹か弟の部屋になるんだろうし」



そうすれば。

拓海くんとの想い出も。

少しは遠い過去になって。

胸の奥底に収まるかも…



「私の事は気にせずにいつでも来なさいよ」

ママはそう言って私を送り出してくれた。

笑って頷いた。


そして私は出勤前のパパに送ってもらってそーちゃんのマンションに帰った。

でも、やっぱり。

迷惑をかけれないよ、ママ。



帰ると。

一人でも。

心が落ち着いた。

今の私の居場所はここなんだ…