桜の花びらが舞い散る、春。

「勇人兄!あのね、そのね、えっとーー、、、好き!!!!!」


下を向いて、火照る顔を隠しながら、精一杯言い切った言葉。




ぽんぽん、と頭の上ににおかれる大きい手。


「みゆ、ありがとう。俺も好きだよ!ずっとかわいい妹!じゃあ、行ってくるね!!」



そう言って去っていったあなた。

いつも妹みたいに可愛がってくれてた勇人兄。

結局思いは伝わらず、そのまま大学に進学してしまった。


小泉美優紀、中学1年生の私にとっての一世一代の告白が見事に流されてしまった。




そんな私に

「みゅー、駄菓子屋さんいこー。好きなの買ってやる!」


後ろから聞こえる優しい声。



嬉しいとき、悲しいとき、そんなときにいつでも現れる一つ歳下の涼太。

小学6年生、私より背の小さい彼が優しい微笑みを浮かべてやってくる。




「ありが、とう。」

涙をふいて振り返り涼太の元に歩く。







桜の季節になると必ず思い出すこの日の思い出、今年もこの季節がやってきた。