夜の十一時過ぎ、僕は燁子の姿を目にした。

隣にはしみったれた中年の男が居た。

みるからにスケベそうでニヤニヤしながら燁子の肩を抱いていて、それを燁子はちっとも嫌がらず受け入れていて、僕は言いようのない哀しさと小さな怒りと、そしてどうしようもなくなった大きな隔たりを感じた。