僕は再び燁子を見た。

燁子はゆっくりと起き上った。

僕は燁子を助けたかった。

だけど遙香が僕の腕を離さなかった。

これまでのどんなものよりも強い力で僕を引っ張った。

燁子は立ち上がった。

そしてよろよろと男の方へ近づいて行った。

男は振り向き、燁子を再び突き飛ばした。

それでも燁子は立ち上がり、男の後ろを付いて行った。

僕は燁子の後姿が見えなくなるまで、路地に立ち尽くした。