僕達は商店街を抜け、駅に向かった。

横断歩道を渡るとき、綾香の手を繋いだ。

手を繋いで歩くカップルは大勢いた。

私服で来た僕たちは街に同化していた。

遙香の手はとてもしっとりとしていて小さかった。

僕が握りしめると、強く握り返した。

もしかしたら、いけるのかもしれないと思った。

僕は小遣いのほとんど全てを財布に入れてきた。

受験をする前に童貞を捨てる。

そうすれば、心置きなく受験勉強に専念できる。

もう、悶々としながら遙香の横で勉強をしなくてもよくなる。

綾香に理由を聞かれたら、そう答えようと思っていた。

本当にそうだったから。