「元気だった?懐かしいわ。もしかしたら今日会えるかもしれないと思っていたの。雅典はちっとも変わらないわね。じゃあ、またね」

そう言うと燁子はそのまま真っ直ぐに歩いていった。



その一部始終を見ていた先輩達から僕は羨望のまなざしで迎えられた。

数人の先輩から取り囲まれ、どうして彼女の事を知っていて、あんなに親しく話せるのか問い詰められた。

僕はひょんな事から先輩たちに尊敬の眼差しで迎えられたわけだけど、僕は燁子が商業では一、二を争うような美人で、他校の生徒の間でもかなり有名な存在であることをその日初めて知った。

僕の優越感はしばらく続いたのだけど、燁子と疎遠になっていることは、誰にも言わずにいた。そんな燁子が学校を退学した。