卓哉を担当する看護師、斎藤由紀奈は渋々彼の朝食をベッドに付属するテーブルに乗せた。


「婦長には内緒にしてね、まだ朝食の時間より少し早いんだから」

「さすがせんせい、ありがとう!」


そういって卓哉が満面の笑みを見せると、思わず由紀奈も笑みが零れた。


「ねえ、せんせい。今日のお薬いつ?」

彼の先程までの笑みが一度に消えた。
由紀奈も、見た目は元気な彼がこのように入院している事を改めて思い知らされたようで溜息を零した。


「んー……、ごはんの後と寝る前だね」