目を見開いて固まる私。
けれど。


なぜだかわからない。


―――もう、いいや。と。


もちろん驚きはしたけれど、抵抗もしようとせず、そのまま受け入れてしまったのは、本当に疲れていたからなのだろうか。


半開きのドアの前。閉じかけた視界に、匡次さんの姿が映った。


「?!……っ!!」


我に返った私は慌ててナオキくんを押し放した。


「………きみは」


「……ああ、彼氏さんね」


押し返した勢いでよろめいたナオキくんが、不機嫌そうに呟く。


一瞬で、ぴりぴりと不穏な空気で場が凍った。


「何を、してるのかな」


その声は少し震えていた。


「…それはこっちの台詞でしょうが。大丈夫かのひとことも、ないんすか」


「こんな場面を見せられるために仕事を切り上げて急いで来たんじゃない!!」


ビクッとする私。
こんなに取り乱した彼を見たのは初めてだった。