「どうかした?佐那ちゃん」


店内の整理をしていたとき。
いつもの人懐こい彼が心配そうに覗き込んできた。


ハッと我に返る私。


「なななっ?!何が?!」


ぼんやりしていたようで、動揺する。


「なにがって、顔色悪いよ?佐那ちゃん。熱でもあるんじゃない??」


掌をおでこに当てようと手を近付ける。


「大丈夫だから!!放っといて!!」


とりあえず、いろいろ距離感が近くて困惑する。


ダメだダメだ。こんなお子様に振り回されては。


そう思って平成を装おうとしても、なんだかんだ彼のペースに流されてしまう。


「可愛いですね、彼。名前なんて言うんですか??」


円香に聞かれ、そういえばまだ名前すら聞いてなかったことに気づく。