「……もう少し、時間をくれないか」


「??なんのお話ですか??あの方は…」


「今はまだ話せない。すまない。送るよ」


言うと、タクシーを拾ってくれて乗せてくれた。


「少しだけど」


会社から支給されるタクシーチケットを渡された。


「えっ?!いえ、大丈夫です」


返そうとしたけれど、当然ながら受け取ってはもらえなかった。


「出してもよろしいですか?」


運転手さんに聞かれると、何事もなかったように、


「お願いします」


そしてタクシーのドアが事務的に閉じられ、発車した。


―――なんだったんだろう。
釈然としないまま、家路についた。