LINEがシャリン、と鳴る。


そのまま外に出る。


車で迎えに来てくれて、着いたという連絡LINEだった。


3階の部屋を出て、鍵を掛け階段を降りる。


私の部屋には来たことがある。
あまり得意ではないけれど、慣れないながら手料理を振る舞ったこともある。


彼の部屋に行ったことは、
―――そういえば…ない。


「お待たせしました」


「急に無理言ってすまない。なかなか都合がつかなくて」


「………??いえ」


誰の都合がつかないのか、そういう言い方に聞き取れた。


「少し離れた隣の市にオープンしたカフェなんだけど。大丈夫かな。個室もあって、予約してるんだ」


「そうなんですね、この格好で大丈夫そうですか?」


白地に紺のチェックの入った膝丈の、お店の新作のワンピースに薄い紺のカーディガン。髪はハーフアップにしていた。


濃すぎず薄すぎないメイクで。それでも気合いは充分だった。


「うん。素敵だよ」


改めて爪先まで見られ、ドキッとしてしまった。