「うわぁ」
僕はつい声を出してしまった。

この部屋なんなんだ!?
使用済みなのかまだなのか、とりあえず色々なものが散乱している。
汚いという言葉でさえも持て余す

「あぁ、そう言えば君は初めてなんだったね。
どうかな?初めての演劇部部室は」
咲莉先輩は意地悪に微笑む

「とても個性的な部屋です...」

「ふふ、いいんだよ。汚いだろ?
でも、ここでする演劇は素晴らしいよ」

咲莉先輩は僕の足元に転がる舞踏会に使いそうなお面を顔の前に当て


「さぁ、この館に来たからにはただでは済まさぬ
わたしはそなたが気に入ったぞ!
ネズミ1匹外に出さぬ。そなたが我の然るべき罰を受けるまで永遠に」

高々と言い始める
呑まれる、喰われる

「うわぁぁあ!!!!!!!かっこいいいい!
これ、これって!」


「あぁ、『8時に月が上りて』の幽霊のセリフだよ」

「どうだった?和佐くん。君の素直な言葉が聞きたい」

「ぼ、僕は。すごいと思いました。次元が違うって感じで
でも、もっとそなたが気に入ったのとこは強めに言ったほうが...」

「おい!!孝汰、お前何様のつもりだ?」
ハッとした。
僕今ダメ出しを...?

「いい意見だ、やはり君で間違いなかったよ」
そういって机から台本をとり渡される

「いまから、それをする。
やるところは黄色のマーカーが引いてあるところだ
3分後に始めるから速読しておけ」

「は?」
僕は、なにかしたのだろうか?