「わたしね、あなたのことがずっと前から好きだったの」
彼女は告げる
見知らぬ僕に見知らぬ彼女が
語るように、宣言するように
どこか舞台のセリフのような凛とした空気で

「は??」
僕は非常に当たり前の反応をした。
まさに、鳩が豆鉄砲でも食らったような顔だ。



「うふふ、素敵な反応ありがとう」
彼女は僕を見ながら嬉しそうに微笑む
「わたしは高野咲莉(たかのえみり)。
2年生で演劇部に入っているの」

「それから謝るわ。ごめんなさい
あなたを使って練習しました。」
彼女は悪びれる様子もなく、凛とした態度で謝罪をし始める。

「ぼ、ぼくは。和佐孝汰(わさこうた)です。
1年で帰宅部です。」
ぼくは、つぶやくように逃げるように告げる

「和佐くん、部活に入る予定は?」
「特に考えていません」

「じゃあさ、演劇してみない?」
時計の針が教室に響く