Sweet Love

『それより、兄ちゃんとはどう?』

「あ、さっきメールでご飯食べに行きませんかって言ってみたら、海鮮丼食べに行くことになったよ」

『ええ、もう約束できたの?』



 麗美は驚いたように声のボリュームを上げた。



「うん。誠二先輩から今度の日曜日にって誘われちゃったあ」

『なんか展開早くない? それに、…どうして海鮮丼なの?』



 …いや、逆にあたしが訊きたいよ。



「誠二先輩に訊いたら、海鮮丼が食べたいって」

『初めてのご飯が、…海鮮丼…。裕子、それなんか変だよ。兄ちゃんはもっと変』



 …麗美、大丈夫。あたしもそう思ってる。


 もうちょっと、こう…おしゃれな喫茶店とか、美味しいパスタ屋さんとかを想像してたんだけど。


 誠二先輩のことは好きだけど、ちょっと自分が思っていたのと違ったっていうか、ギャップがあるっていうか。


 まあ、いい意味でだけど…。


 今日、実際に会話をして、改めてもっと誠二先輩のことを知りたいと思った。最初の頃よりずっと、先輩への興味が大きく膨らんでいた。



「…麗美。もう遅いから明日学校で話そう。なんか、長電話してごめんね」

『ううん。じゃあ、明日学校でゆっくり話そう? おやすみ、裕子』



 あたしも「おやすみ」と返し、そのまま通話を切った。


 あたしは布団にごろんと寝転がる。体を反らせて、大きく伸びをし、天井を見つめた。


 明日牧原にどう報告しようかと思考を巡らせる。


 最初は見ているだけだったけれど、今回については、これは大きな進歩だ。


 連絡先も交換したし、電話やメールもできた。それにご飯の約束までしてしまった。


 冷静に考えると、かなりいい展開に向いてきてる気がする。逆に、こんなに上手くいっていいのだろうかという不安もある。何か抜け穴があるのではないかと疑ってしまいたくなる。


 でも上手くいけば、この恋が叶うかも知れない。そうなれば、牧原を見返すことができる。


 そんなことをひたすら考えていると、いつの間にか日付を跨いでいた。