悩みながらせっかく考えて送ったのに、内容がこれじゃあ、あまりにも切なすぎる…。


 まあ、ここは前向きに。


 気持ちを切り替え、返信を操作した。


 本文の入力画面が表示される。



「どこか、食べに、行きたいとこ、あります、か、っと」



 そんな感じでシンプルに本文を打つと、あたしは迷わず送信ボタンを押した。


 誠二先輩からの返信は、一分足らずで送られてきた。



 …はや。



 と思いながらも、心は浮き立っていた。わくわくしながらメールを開くと――。



『海鮮丼』



 それを見た瞬間、あたしはぶっと噴き出してしまう。



 か、海鮮丼って。

 そんな豪華なもの…。

 …誠二先輩ってちょっと変わってるかも。



 そのあと、あたしが送信した内容が、



『海鮮丼ですか! いいですね。そしたら、海鮮丼食べに行きましょ!』



 と、絵文字を少し付け足した感じ。


 次の返信を待っている間、誠二先輩から受信したメールを改めて振り返る。



『いいよ』


『海鮮丼』



 ああ、切ない、…切なすぎる!



 そのとき、急に画面が着信画面に切り替わった。


 相手は麗美だった。



「もしもし」

『…もしもし』



 何故か男の声が聞こえた。



「え」



 …この声、麗美じゃない。


 少し不機嫌そうな低い声。まさか、誠二先輩!?



「…誠二先輩?」

『そうだよ』

「いきなり電話なんかしてどうしたんですか?」



 突然の誠二先輩からの電話に、心拍数がどんどん上がっていく。