「うーん…やっぱり誠二先輩が一番気になるかなぁ。でも優希先輩もかっこいいんだよねぇ」



 ただの妄想だけど、二人が並んでいて、爽やかな笑顔をあたしだけに向ける場面が頭に浮かぶ。あたしは今、多分目がハートになっているだろう。



「…へえー。確かにかっこいいかも知れないけど、松田じゃ相手にされないんでないの」



 牧原は、呆れ顔でスナック菓子の袋を戸棚から取り出した。そっちから話を振ってきた癖に、こっちに見向きもしない。



「何よそれ。そんなの、まだわかんないじゃん」

「だって松田ってさ、その性格じゃ甘えるのとか絶対無理そうじゃん。それに、いつもツッパってるじゃん」

「……ちょっとあんた、言い過ぎだっつの」



 図星なところを牧原に突かれて、正直気分は最悪だ。



「それにいつも、人使い荒いし」

「何あんた、根に持ってんの?」

「…少しね」



 牧原はこちらを向いてニヤッと笑みを浮かべた。



「今更何よ。ていうか、どうなるかなんてアピールしなきゃわかんないでしょ?」

「…まあ頑張って」

「いい加減だね、あんた」

「松田もね」

「一言余計だってば」



 こんなくだらない言い合いを続けながら、あたし達は牧原の部屋に戻った。