裕子が軽くスキップをしながら先へ行ってしまい、わたしは慌ててその後を追い掛けた。



「ちょ、ちょっと…!」



 鼻歌交じりで歩いて行く裕子の姿は、何だか楽しそうだった。



***



 お昼休み、屋上でいつものようにお弁当を四人で食べていた。ただ、その中でわたしはひどく気分が沈んでいた。


 ――最近、勉強がついていけてない。


 苦労して良い高校に入っても、あとからきつくなるのはそれなりにわかっていた。実は、これまでの日常の中で色々なことがあったせいか、勉強が疎かになっていたのだ。


 わたしは、うっかりして箸で挟んでいたウィンナーを地面に落としてしまう。



「…あ」

「…麗美ちゃん、落ち込みすぎ…」

「俺のあげようか?」

「大丈夫…。もう一個入ってるから…」



 先ほど行われた数学の小テストも全然だめだった。授業を真面目に聞いていても、ついていけてないのが現状だ。



「元気だしなよ、麗美。小テストが全てじゃないんだからっ」

「そうだよ、本番で発揮できればいいじゃん」

「数学、教えようか?」

「…みんなありがとう。わたし、家であんまり勉強してなかったから…。今度はちゃんと真面目にやるようにするよ」



 ――考えてみれば、兄ちゃんと優希さんかなりレベル高いんじゃ…。



 わたしは更にどん底に落ちそうになり、考えないよう慌てて目を瞑って頭を振った。



「…大丈夫?」



 と、わたしの顔を心配そうに覗き込む萩原くん。


 わたしは、なるべく笑うよう努めて「もう大丈夫」だと応えた。



「…その…」

「何?」