*新宮幸谷side

この病気が始まったのは、一年前。

高2の夏休みだった。

……

「コー君!夏休み様降臨だぞ〜!」

「ぐっ!?」

机に突っ伏してる俺に飛びついてきたのは、俺の彼女の野沢海子。

「海子」って書いて本当は「あこ」と読むのだが、バカな俺はずっと「みこ」と思っており、結局今でも「みこ」と呼んでいるのだ。

「んだよ、みこ。いきなり来たらびっくりするだろが。」

「ごめんごめんって!けどあまりにもコー君が落ち込んでっからどしたんかなーって心配して来てやったんだぞー!」

感謝しろこのやろーと俺の頭をペシっと叩いた。

「へいへい。どーもサンキュね。」

「にへヘィ」

あんなお礼の仕方でも嬉しがるみこはすげー可愛い。

抱きしめたくなったけど、一応ここは教室。ぐっと俺は堪えた。

「そういえば〜」

「結局なんであんなに落ち込んでたの?」

くりっとした大きな瞳が俺を覗き込む。

こいつ…やっぱ美人だよな。

童顔なわりに、鼻筋きれいで唇も赤ピンクってゆうの?なんかすげー魅力的だし。髪はきのこヘアーで生まれつきの赤茶色。中学とか校則うるさかったってなんか言ってたっけ。肌も白玉みたいで触りてーな…。

「おいっ!!」

ピシッ!

「イテッ!」

…みこにデコピンされた。

「なぁにぼーっとあこの顔に見惚れてんのさ!質問答えてよ!」

「み、見惚れてねーし!!!」

顔あっつ…。

「えっとああ落ち込んでた理由だっけ?」

「そーだよもうっ!!」

「…実は…その…しゅうに…」

言いたくねーな…はぁ。

「聞こえない!おっきな声で!」

「実は補習になっちゃいました!!」

クラス中の視線がこっちへ向いた。

そしたらみこが

「よく言えました〜!」

なぁんて言ったからクラス中大爆笑。

これ以上俺を惨めにさせんなよ…とほほ…。みこを見ながらそう思った。