『どうぞ、お入りください。』

白衣を着た男性にそう言われ、俺と母さんは中へ入った。

むわっと生暖かく理科室のような匂いのするその部屋は、少し気味の悪さを感じさせた。

『ささっ、座ってください。』

「あ、すみません。ありがとうございます。」

母さんが手短にそう言った。

『さて…確認ですが、新宮幸谷くん…だったね。確か人間ロボをご購入されるのは初めてですよね?』

(コクッ)

『悪いけど、購入理由を教えてもらいたいのだけどいいかな?』

人間ロボはキチンとした理由がないと買えない。悪用する人が出ないようにするためらしい。

「…」

母さんに鉛筆と紙を取ってもらった。

そして紙に

[彼女との約束を叶えなければいけないからです。]

『君では叶えられないのかい?』

白衣の着た男性に、僕は頷く。

[僕は]

母さんは耐えきれず泣き出した。

[僕はもうすぐ死にます。]