拓巳とあたしたちは特別仲がいいわけじゃない。


家の場所も知らないし、家にお邪魔するような仲でもない。


「だって、気になって仕方ないんだろ?」


「それはそうだけど……」


拓巳が学校へ来なくなった理由がどうしてもわからなかった。


最初は菜々花の事を気にしているだと思ったけれど、それだけで一週間も学校へ来ないというのはおかしい。


このままじゃ拓巳の進級が怪しくなってきてしまう。


「立石先生に聞けば住所くらい教えてくれるはずだろ?」


「そうだよね……」


蓮の言葉にあたしは頷いた。


このまま何もできずにグズグズと時間だけが過ぎて行くのは、もう嫌だ。


「大丈夫。きっと今までと同じ毎日が戻って来るから」


蓮はそう言い、あたしの手を握りしめたのだった。