皆、各自の、席に着いているので私も自分の席へ向かった。
「...?」
もうすぐホームルームが始まる時間なのに私の隣の席は空いていた。
まあいっか、私は1番後ろの窓側の席で陽当たりが最高の席だった。
絶対に授業中に寝る。

ガラガラッ
「ホームルーム始めるぞー。」

「今年も大嘉(たいが)先生じゃん!ラッキー」
「大嘉じゃなくて静谷先生だろ。」
「いやだって、見た目からして全然静かじゃねぇし似合わねえよ。」
「...うるせぇ。」
どうやら先生自身も自覚しているようだ。

静谷 大嘉(しずたに たいが)先生。
担当教科は生物でテストは少し難しめのを作ってくる。
高身長で整った顔立ちのため女子からの人気も高い。
が、気さくでノリの良いため男子からも人気。
しかし、大嘉先生は他の先生との付き合いが上手くいかず悩んでいるらしい。

「今日からあいつも一緒に授業を受けるぞ。」
凛の言ってた人かな?誰だろ。
「榊原 太陽(さかばら たいよう)、元1-Bです。」
「太陽!? お前、来るなら言えよ!」
「ごめん健、驚かせたくてさ。」
「びっくりどころじゃねえから!
まあ、来れるようになって良かったな!」
「あぁ、ありがとう」

「!?」
元1-Bで同じクラスってことは途中から病気の関係上来れなくなった子だよね?
いや、それにしても何で、なんで彼の周りには何も見えないの?
白木の周りには「太陽がまた学校に来れて嬉しい」って書いてあるのに。
榊原 太陽の周りには何も無い。
なぜ...。

「おい、月詠」
「あっ、はい。何ですか先生?」
「お前、榊原の隣だろ。 こいつ久しぶりの学校であまり設備を覚えて無いからよ、案内頼むわ。」
「...はい。」
「宜しくね、月詠さん。」
「...宜しく。」

何故に私は引き受けてしまったんだ...。
感情が見えるというのも嫌だが、見える事が当たり前になってきた私はは、感情の読めない彼を少し怖いと思った。
本当なら恐怖しか感じ無いと思うが、感情を読む力があるということを知られない為にひたすら作ってきた私の笑とは違い、彼は感情を読まずとも偽りの、無いくらいに優しい人なんだろうなと感じてしまう位に優しい笑顔を向けるのだ。
私はそんな彼を羨ましいと思ったんだ。