未だに、状況がのみ込めない。 けど 行かなきゃ、新奈ちゃんのところへ。 “奪いにいくから。” あいつに__ 千歳に、奪われたくない。 突き動かされたように 俺は誰もいない廊下を走り出した。 心がに体が追いつかない、そんな感覚がする。 せんせーに注意されようが、誰かに呼び止められようが無視して走る。 早く、新奈ちゃんに会いたい__新奈ちゃんの顔が見たい。 “洸くん!” ふっと思い浮かんだ新奈ちゃんの無邪気な笑顔に、更に走るスピードを早めた。