「わざとじゃないんだしそんなに怒らなくてもいいじゃん、ね?」
着崩した制服姿で出てきた男の子は洸くんで。
女の子をなだめて、チラッと私の方に目を向けた洸くんは目を見開いた。
「ご、ごめんなさいっ…。」
私は頭を下げて逃げるように保健室から出た。
洸くんに私の名前を呼ばれた気がしたけど、気のせいだ。
出来るだけ保健室から離れたくて、廊下を無我夢中で走ってく。
さっきの光景がグルグルと頭の中を回って
チクチクとトゲが刺さったみたいに痛くなる胸。
「もうやだ…」
絡まる足。
あ、やばい!!転んじゃう!
ーーバタンッ
そう思ったのも束の間。
すでに私はもう床に倒れていた。