*千歳side 「ーーで、これはーー…」 眠くなりそうな数学の時間。 横目で誰も座っていない隣の席を見る。 …アイツ、どこにいるんだよ。 いつもは授業なんてサボんねーのに。 …って、何気にしてんだ俺。 ノートに文字を書こうとするけれど、すぐに手は止まって。 “あ、じゃあ私そろそろ行きますね。またあとで” そう言ったアイツが手に持ってたのは、知らない男の名前が書かれてあった教科書。 ……なんとか…洸? 多分そんなような名前だったと思う。