「………はぁ?」
音羽は音羽とは思えない間抜けな声を出した。
僕は笑顔を崩さない。
音羽は暫く呆然としてたけど、急に焦ったように僕の手首を掴んだ。
「ちょっと…!こっち、来て!!」
何とも強引に、音羽は僕の手首を掴んだまま階段を駆け上がった。
着いたのは最上階の音楽室。
僕を先に入れて、乱暴に二重扉を閉めた音羽は、扉の前に立ったまま睨んできた。
「……どういうつもり?」
低い声をだしてるんだろうけど、音羽は元から声は高いし、あまり怖くない。
『どうって…分からなかった?』
僕はズボンのポケットに手を突っ込んで笑顔を向けた。
音羽には企むような目に見えたかもしれない。
「………~~祐介のバカッ!!!」
『え?』
急にバカと言われた僕は少しうろたえてしまった。
……予想外でした。
「…なんで急に約束破ったの!?
なんであんな目立つ事したの!?
言ったでしょ?私はここの高校生とは見てきた世界が違うの!1人でいたいの!!」
『………』
「祐介にも分かんないよ!
私がどんなに…どんなにっ!!」
『音羽。』


